栽培管理支援システム ver.1.0

冷害リスクと追肥可否判定

 地球温暖化が進行する一方で、北日本における障害型冷害のリスクは依然として高いとの予測もあり、北海道の稲作にとって冷害対策は重要です。また、近年の経営の大規模化に伴い、圃場管理の一層の効率化が求められています。これまでの経験範囲を超えて変動しつつある気候条件の下でこれらの問題に対処するためには、信頼性の高い気象予測データを活用した生育予測に基づく、栽培管理の判断を支援する情報が必要です。当コンテンツでは、メッシュ農業気象データを活用し、水稲の発育予測・低温不稔発生歩合を予測することで、深水管理の時期と水深の目安、および、分施を前提とした窒素追肥の可否判断情報を提示します。

利用手順:

●発育予測について
 対応している品種は、早晩性が“早”の「大地の星」、“やや早”の「きらら397」、「ほしのゆめ」、「ななつぼし」、「ゆめぴりか」、「おぼろづき」、「きたあおば」、“やや晩”の「ふっくりんこ」、“かなり晩”の「たちじょうぶ」の9品種です(この9品種合計で、道内のうるち米水稲作付面積の94%を占めます(北海道農政局,平成29年9月「米に関する資料」より))。メッシュ農業気象データの日平均気温を用い、幼穂形成期、出穂期、成熟期、および低温不稔発生に関わる前歴期、冷害危険期、開花期を予測します。

●不稔歩合予測について
 上記品種のうち、「きたあおば」と「たちじょうぶ」を除く7品種について、低温による不稔発生程度を予測します(「きたあおば」と「たちじょうぶ」は、「きらら397」と同じ式で計算した結果を提示します)。予測結果は数値ではなく、予想される低温不稔の程度が「平年並み」、「やや高い」、「高い」、「かなり高い」の4段階で示します。なお、当コンテンツでは冷害リスク対策を第一に考え、低温不稔発生を見逃さないよう、予測値を調整しています(「不稔が発生する」という予想が実際の不稔発生より若干多め)。具体的な予測精度につきましては、マニュアルをご参照ください。

●追肥可否判定
 分施体系(基肥90~80%+追肥10~20%)を前提とした窒素追肥の可否を判定します。判定時期は幼穂形成期とし、追肥の時期は幼穂形成期から1週間以内とします。追肥の可否判定基準は次の通りです:予想される不稔歩合が「やや高い」以上では追肥不可、あるいは、出穂期がその地点における出穂の晩限(出穂後40日間の日平均気温平年値の積算値が786℃以上となる最終日)の3日前より遅いと予測されたら不可。

【利用上の注意】
 「予想される低温不稔の程度」が「平年並み」であっても、誤差を含んだ予測値であり、深水管理が不要であることを意味しません。基本技術である深水管理は励行されます。

関連資料
濱嵜孝弘ら(2016; 2017; 2018)日本農業気象学会 全国大会講演要旨集:2016年,p120; 2017年,p99; 2018年,p122.
三浦 周ら(2017)日本土壌肥料学会北海道支部2016年度秋季大会講演要旨集p16.
濱嵜孝弘ら(2018)日本農業気象学会北海道支部2018年大会講演要旨集B01-02.
濱嵜孝弘ら (2019) 生物と気象 19, (印刷中)